身頃のパターン(型紙)が前後同じ形なのは、パタンナーの個性?
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デザイナーが描くイラストがひとりひとり違うように、パタンナーが作る型紙もひとりひとり違います。
同じイラストを見て製図をしても、パタンナーの個性が必ず出ます。
でも、パタンナーの個性は、一般の方にはわかりにくいのですね。
私は長くパタンナーをしていますが、いまだに「ええっ、こんなパターンの引きかたあるの?!」と思うことがあります。
人の体は、前後左右対称ではありません。
しかし、既製服のパターン(型紙)は、左右対称に作ります。
デザインが左右対称でなければ、左右どちらも作りますが、そうでなければ普通は右身頃か左身頃、どちらかしか作りません。
では、前後ではどうでしょうか。
もちろん、前後は同じには作りません。
トップスですと、一般的な丸首では衿ぐりが前後同じにはできません。こちらもデザインによりますが、前の衿ぐりのほうが下がっているはずです。
そうしないと首が当たって苦しいので。
ボトムでは、パンツは後の股ぐりが前に比べてかなり長くなっています。
そうしないとしゃがんだりしたとき、おしりが見えてしまいます。
テレビや実生活でも、股ぐりの、後のほうが裂けてしまうのをたまに見ますが、後股ぐりの運動量(長さ)が前に比べてそれだけ必要だと言えます。
ほかの部分も、前後でパターンが変わるのが普通です。
とくに女性は胸があるので、前後で同じにはなりません。
肩線も、アームホールの形も、丈も前後では違ってきます。
同じ形では着にくい服になってしまいます。
当然ですね、立体的な体に合わせて、立体的に服を作るのですから。
体を入れたときに着やすく、きれいに体に沿うように、しかも動きをさまたげないようゆとりなど考えて作られているのです。
ですので、服は普通、きれいにぺたんとたたむことはできません。
たたんだとしても、肩線や脇線がたたんだ部分とは重ならず、前にずれることが多いと思います。
衿や袖があれば、もっとたたみづらいはず。
トップスの身頃の型紙の形を、前後同じに作るパタンナーがいます。
さすがに衿ぐりは変えていますが、肩線、脇線、アームホールや袖の形まで前後同じ。
それでよいのか?よくないと思う。
冒頭パタンナーにも個性があると書きましたが、これは個性と言えるのかな??
だって、前後同じ形のパターンって、作るのにかかる時間がかなり短くて済むからです。
あれ?この服、きれいにぺたんとたためるぞ、という方。
その服の製図をしたパタンナー、手を抜いてるかもー!
(注意!カットソーやニットなど、伸びのある素材では、前後同じであることも多いです。生地自体の伸びで運動量などが確保できるからです。
布帛(織物)の場合、通常パターンが前後では変わってくるのがほとんどだと思います)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
誠実なパタンナーさん、たくさんいます。