私、パタンナーです。

「元」パタンナーの目線から服のことを書いています。

パターン(型紙)の記号やお約束。間違いなく裁断、縫製できることがいちばんの目的。

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パターンというのはサンプルでも量産でも、パタンナーが作ったものを工場さんに送って、工場さんで裁断、縫製してもらうことがほとんどです(サンプルはサンプルメーカーさんや、個人の方のこともあります)。

パターンを作る人と使用する人が違うので、パターンは誰か見てもわかりやすくしないといけません。

なので、パターンには「お約束」があります。

パターンに品番、使用生地(表地、裏地、芯地など)、必要なパーツ数などを記入するのは当然として…。

たとえば、ギャザーが入るところに記入する、なみなみ〜のマーク。同様にイセや伸ばしが入るところにも専用のマークがあります。

パターンに記入するマークの例

パターンは、縫い合わせる部分の寸法を合わせておかなければなりませんが、デザイナーやパタンナーの意図で、違う長さのものを縫い合わせることがあるので、見た目ですぐにわかるよう、こういうマークを記入します。

ほかには、身頃のアームホールと、袖の袖山を縫い合わせますが、袖はその形から、前と後がわかりにくいです。袖は(ほとんどの場合)左右対称のものが付きますが、裁断後の袖だけ見ると、右袖なのか左袖なのかがとてもわかりにくいです。左右の袖逆に付けてしまうということが時々起きます。

ですので、袖のパターンに合印を入れるとき、前を1本線、後を2本線にします。これは、身頃のアームホールの合印も同じように前後で本数を変えます。縫い合わせる部分の接ぎの合印は、必ず合うように入れます。前後で変えることで、縫うときの間違いを防ぐことができます。

合印で前後がわかる

(ちなみに合印は、縫い代端から2〜3ミリ程度の切り込みを入れます。切り込みを入れられない素材やデザインの場合は、しつけ糸やチャコを使ったりします。)

あとは、左右対称の場合、右身頃または左身頃のどちらかだけを作成します。右身頃が多いと思います。

下の絵のようなカットソーを右身頃で製図すると、パターンはこんなかんじになります。前後の衿ぐりが似ていると、ぱっと見前後がわかりにくいですよね。

カットソーのハンガーイラスト

パターン
でも、右身頃で作るというお約束があると、前身頃と後身頃の方向が必ず違ってきます。パターンを見てすぐに前後がわかりますね。これに先ほどの合印があれば、裁断したあとの間違いも防ぐことができます。

裁断、縫製というのは製品ができあがるいちばん大切な部分です。先に書いたように製図をする人と縫う人は同じ人ではありません。パターンに前身頃、後身頃と記入していても、海外の工場なら日本語がわからない人もいるかもしれません。時に予想がつかないことが起こることがあります。

とくに量産は間違いをできるだけ防ぐため、パタンナーはとても気を遣います。どうすればわかりやすくなるか、間違いなく縫えるか、パターンの作り方や仕様書の作成の仕方を考えます。

でもここまでしても、間違えるときは間違います。人間のすることなので、仕方のない部分もあります。

でも、でもね…さすがに袖を左右逆に付けるなんて、プロのする間違いじゃないです。気をつけてよ!となります。

 

注:パターンはいい加減に作っています。これでデザイン画のような服はできません!

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

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