パタンナーが手を抜かないようにデザイナーさんはっきり言ってください。
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たびたび書いていますが、パタンナーにもいろいろな人がいます。
もちろんたいがいはとても一生懸命にやれることをやっている方ばかりです。私の周りにいた、一緒に仕事をしてきた人たちは尊敬できる方々がたくさんいます。
でも、中には自分がやりたくない仕事をしない人もいます。これは、なにもパタンナーに限ったことではなく、どんな職種でもあることだと思いますが。
商品が上がるまでの流れを(かなりざっくり)説明しておくと、デザイナーがデザイン、生地などを決めて絵を描き、それをパタンナーが製図して仕様書を作り、工場さんに依頼してファーストサンプルを上げます。
そしてそれをデザイナーパタンナー交えてチェックし、パタンナーがパターンを修正し展示会サンプルを上げます。
もしファーストサンプルで問題があったりすれば展示会用のサンプルの前に再度サンプルを上げます。
会社やブランドなどにより展示会ではなく撮影サンプルになったり、モデルサンプルになったりします。
最終的には展示会(などの)サンプルの後、修正、確認サンプル(これはデザイナーのチェックがないことも多い。裁断、縫製など、工場が本生産に入る前の確認のためのサンプルなので、品管、生産がチェックすることもある)グレーディング、本生産依頼となります。問題なければ確認サンプルなしで進行することも。
その後も納品前サンプル(サンプルというより本生産から数枚抜いて検品が多い)を上げたりします。これもパタンナーがチェックしたり、品管、生産がチェックしたりとさまざま。
それらを踏まえて…
デザイナーパタンナーまじえてサンプルチェックするときはボディに着せるか、誰かに着てもらったりしてときにはかわいいー!!と盛り上がり、ときには微妙な上がりにみんなで考え込んだり…。
サイズも含め上がりに問題なければOKですねーですぐ終わりますが、ときにはどうしようかと悩むこともよくあります。
基本的にデザイナーとパタンナーは対等に、なにかあればお互いに意見を出し合います。
たとえばデザイナーはそのサンプル単体だけでなく、コーディネートも考慮するので、上下のバランスを考えて丈長くとか、衿ぐりもう少し小さくとか、見た目で修正して欲しいところを言いますし、私はパタンナーだったので、パターン的に気になるところはデザイナーに報告します。
ここでひとつ注意点なのですが、サンプルの修正=パターンの修正となり、場合によりサンプルをもう一度上げなくてはならなくなるので、修正が多いとパタンナーの負担は大きくなります。サンプル納期にほとんど余裕がないことが多いので、できるだけ修正は少なくしたいのがパタンナーの本音です(デザイナーの手間ももちろん増えますよ)。
でも、良いものを作るのがいちばんの目的だし、とくにファーストでは修正が当たり前です。
基本的にパターンがよくなくて修正することになるのは自分のせいなので、みずから申告して修正します。これは当然。
自分のパターンが悪いわけではないけどパターン修正することできれいになることがはっきりしているのならこれもみずから申告して修正します。
デザインに影響するならそれも言った上でどのように修正をするか相談しますし、ときにはデザイナーが気になっていなくても自分が気になれば修正しなくてよいのかデザイナーに訊ねますし、小さいことならデザイナーに言わずに修正することも。
そしてデザイナーも、パターンの領域で気になることがあればパタンナーに聞いてきます。
でも、ここでデザイナーが気を遣っているのがよくわかったりするのです。
たとえば気になるシワが出ているとき、「このシワって縫製が良くなくて出るのかな?」なんて言われることは本当によくあること。デザイナーさんにしたら「パターンが良くないんじゃないですかなんて口が裂けても言えないし、修正するとなるとそうでなくとも忙しいパタンナーさんの負担が増えるし、でもやっぱりこのシワ、気になる…」(というデザイナーの葛藤)が見て取れる。
デザイナーさんって、パタンナーに対して本当に気を遣ってくれるのです(使ってくれない人ももちろんいるけど)。
デザイナーは、知識や経験がある人ほど、きれいでないシワやツレが出ていることを気にします。「きれいな服」をよく知っているので、見る目があるからです。
経験の少ないデザイナーは、その服がきれいかそうでないか、良いか良くないかもわからないことが多いです。でももちろんそれが悪いわけではありません。好き嫌いでデザインしてもいいし、ちゃんと経験を積んでいけばわかるようになります。
そしてこだわりやプライドがある方ならきれいな服を作りたいはず。そりゃそうです。デザイナーは自分のデザインしたものが売れるか売れないかで会社からの評価が変わってくるから、できるだけきれいな、売れるものを作りたいです。
だけど、上で書いたように、パタンナーを気遣って修正してほしいところを言えないデザイナーがいる。
デザイナーさん、いいんですよ。気になるところはどんどんパタンナーに言おう!そして修正してもらおう!!と言いたいです。
だって、デザイナーの人のよさにつけこむ卑劣なパタンナーがいるのです。
デザイナーがパタンナーより若い(キャリアがない)場合、特に多い。サンプルチェックのときデザイナーが「袖山のここ、気になるんです…」と言っても、「あ、それね。ギャザー入ってるからどうしてもそうなるねん」←ならんわ!!
私毎日あなたのパターン見てたので知ってます。あなたのパターンが悪い。これになってるからです↓
ちなみにそのパタンナー、私よりキャリアありました。
…とえらそうに書いてますが、実際、私もパターンで手を抜いたことがあります。
数年前、転職してすぐのころ。はじめてのOEM、はじめてのインドメーカー…私はすぐにパニックになりました。
やってもやっても終わらない。というより、進まない。なによりわからない。仕事が溜まっていく。残業しても朝早く出勤しても終わらない。前任者は一人でやっていたのでその人が辞めてしまっては訊ける人もいない。
OEMは相手先さんがあってのことなので、すべてを確認してOKをもらわないと進行できません。しかもサンプルが多い。手間も時間もかかります。
インドの工場は英語しか通じないし、荷物が1日では届かない。再度サンプル作製すると間に合わないので、間違いなく作ってもらうために手の込んだ仕様書を作成したり、プリントが多く柄の方向を指示しないといけなかったり。手間も時間もかかります。
社内業務では洗濯ネームを自分で決めないといけない。後から考えると品管に相談したらいいだけなんですが、はじめてだとどうしたらいいかわからず本当にとまどいました。
そんなわけで手を抜くところがパターンしかなかったのです。そのほかはわからないところばかりなので、手を抜く以前の問題だったから。
今なら、そこ、手を抜くところじゃないと自分で判断できます。でもその時はそうするしかなかった。言い訳ですが、そうしないと精神的にパンクしてすぐに辞めていたと思う。
でも、だめですよね。
なので、そんなにえらそうなことは言えないのだけど、だけどパタンナーに手を抜かせるのはデザイナーの、商品を見る目がない(あっても言えない)というところにもあるのですよ。私がそのとき手を抜けなくなったのは一緒に仕事していたデザイナーがそうさせてくれなかったからです。
デザイナーさんで、サンプルや商品の上がりがいまいち、と思われる方は、パタンナーのことよりご自分の見る目を肥やしてみるといいかもしれません。常識的なパタンナーなら、デザイナーからの指摘が的確であれば、言い訳せずにちゃんと修正してくれます。
してくれない人には、はっきりきっぱり「パターン見てもらっていいですか」といえばいいです。そんなパタンナーにはぜひ言ってください!
でも本当にできないこともあるので、そこは勘弁していただけるとありがたいです…。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。