体の厚みを考える。製図をするときに必要な考え方です。
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人の体は正面から見るとそんなに意識しませんが、横から見ると人により厚みが違うのがよくわかります。サイズが上がっていくと厚みを増していきます。9号サイズの人と7号サイズの人では、横から見たときの体の厚みが違います。7号の人を横から見ると薄いはず。
ボディとトワルで立体的に作ったとしても、所詮パターンは平面にしか作れません。布地で作るものなので当然のことなのですが、平面でどれだけ体の凹凸や厚みを表現できるでしょうか。とても難しいです。
だからおもしろいのですけど。
今回はその体の厚みが、パターンでどう表現されるのか少しですが書いてみたいと思います。分かりにくかったらすいません。
たとえばこんな服があったとして。 前後、正面から見たらこんな感じです↓
横から見ると↓
パターンはこんな感じ↓袖は省きます。
体を横から見ると、どなたでも体の厚みは意識できると思います。でも前から見ただけでは体のどこにどれだけの厚みがあるかをなかなか意識することはできません。
たとえば肩と胸の部分では厚みは違いますし、厚みがあることでパターンがどのようになるかを理解することは難しく、時間がかかります。
たとえば、パターンでとても大切だけどなかなか難しい肩の部分。ここは身頃と袖を支える部分なのでとても大切なところ。
上から見るとこんな感じ↓オレンジ部分は厚みと考えると…
パターンで言えば、ここの部分になります。
ここは、正面から見るとなかなかわかりにくい部分です。パターンを平面や数字(寸法)だけで考えると理解しにくい。
たとえば服によっては肩パットが入ったりしますが、そうするとここの部分のパターンの形は変化します。肩の厚みや高さが変わってくるからです。なで肩の方のパターンを作りたいときにももちろん変化します。
もちろん体の厚みは肩の部分だけではありません。身頃もそうです。ひとくちに身頃といっても、ウエストとバストとヒップの部分ではそれぞれ厚みが違ってきますし、サイズもかなり違います。
身頃の厚みをこの図で横から見ると↓袖は省いています。オレンジ部分が脇の厚みです。腕を下ろしたときに当たるあたりです。
この部分、体の奥行きともいえます。アームホールの大きさとも関連してきます。ダーツが入っているかいないかでも形が変わってきます。そうそう、ダーツも体の厚みを出す手段の一つですよね。
たとえば、サンプルを見て少しきつそうだからもう少しバストを大きくしたいと思ったとします。言葉だけで聞くと、ただ単純に脇線で出してしまいそうですが、それではとても乱暴ですよね。カマ底もやたら大きくなってしまいますし。
一口にバストといっても、前がきついのか、後がきついのか、厚みが足りないのか…場合によっては肩巾も少し大きくした方がバランスが取れたりします。
なんならアームホールを少し変えるだけでよかったりすることもあります。つまり、バストではなく、バストより上の部分を調整するのが正しい修正だったということもあります。
実際には体は曲線になっているので、ここからここまでが厚み、という明確な場所はありませんが、ボディを見て(触って)みると面が変わる場所があります。その部分を意識すると、体を立体的に考える助けになりますし、ダーツや切替は面が変わるところに入れるときれいに収まります。
教科書にそういう場所が数字になって載っていますが、数字よりもボディや実際の体を見てトワルやサンプルで確認するほうが実践的です。ボディだって種類によって、会社によっても違うし、何よりターゲットによっても変わってくるので。
ボディがなければ、自分の持っている服を自分で着てみて、つまんでピンで留めたり外したり、着たり脱いだりして確認してみるとおもしろいかもしれません。本をなぞるより勉強になりそうです。
話がそれましたが、製図をするときに、ただ単純に縦と横だけで考えているわけではないことはおわかりいただけたでしょうか。
一般的に、サイズが上がれば全体的に大きくなっていきますが、縦も横も均等に大きくなっていくわけではありません。大きく変わるところもあれば、そんなに変わらない部分もあります。
年代の違いもそう。こちらも一般的に、年代が上がればサイズは変わらなくても肉の付く位置が変わってきたり、逆に削げてくる部分もあったりします。ブランドのターゲットによりパターンが変化するのはこのためです。
パターンを作るときには、たとえ平面で作るときでも、いつも頭の中でトワルを組むイメージで立体的に考えないと、着にくい服ができ上がります。
自分で書いていて本当に、まだまだ勉強することがたくさんあるなあと思います。
図は適当です。適当に見てください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。