私、パタンナーです。

「元」パタンナーの目線から服のことを書いています。

商品の問題やクレームをなくすことはできないけどできるだけ少なくしたいと思う。

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商品に対する問題やクレームというのは、パタンナーにとって気になるところだと思います。

気になりますよね?え、気にならない??

実は以前いた会社でクレームがパタンナーにほとんどフィードバックされなくて、本当に呆れていました。もちろんそれで平気なパタンナーに対して呆れていたのです。

それはさておき、アパレルに限らずどんな商品を取り扱っていても、いわゆるお客様相談室のような機能の部署があると思います。アパレルなら品質管理の担当の方が担うことになるのでしょうか、そういう部署には日々お客様や販売員から、いろいろな問題、クレームなどの連絡が入ります。

もしくは、営業の担当者にお店や取引先から連絡が入ることもよくあります。

今回は気になる商品の問題、お客様からのクレームについて、少しですが書いてみたいと思います。

 

お客様からの問い合わせにはいろいろなものがあります。クレームばかりではありませんし、実際クレームはそんなにないそうです。

お客様相談室に多い問い合わせは、以前商品を買ったが色違いが欲しい、在庫はありますかとか、どこどこに住んでいるが、いちばん近いお店を教えてとか。こういうクレームではない、お客様が購入するために欲しい情報の問い合わせがいちばん多いのだそうです。これは純粋に、とてもうれしいことです。

あとはクリーニング屋さんからの問い合わせも多いらしい。洗濯絵表示についてとか、いつの商品かとか。

クリーニング店からの問い合わせだと、お客様からクリーニング店へのクレームがあっての問い合わせなのかもしれないので、ちょっと気になるところでもあります…。

このあたりは生地の物性や商品の仕様に対する問い合わせになると思います。色落ちしてかばんに色が移ってしまった、生地が薄くて縫い目が裂けてしまったなどの物性による問題や問い合わせは、クリーニング屋さんからだけでなくもちろん一般のお客様からもあります。

こういう問題によるクレームを防ぐため、一般的には洗濯ネームやデメリットタグ(下げ札)で消費者に注意を促したりします。

会社によって違ってくると思いますが、素材やデザインにより洗濯ネームの内容を吟味して、その品番に合わせてひとつひとつ洗濯ネームを作ります。品質管理の担当者が作ることが多いと思いますが、会社によってはこの部分もパタンナーの仕事だったりします。

メーカー側としては、できるだけ問題が出るのを避けるため、洗濯ネームは慎重に作ります。後で問題が出たときに、「ほら、洗濯ネームにこう書いてあるでしょ?」と言えるように、先回りしていろいろと書いておくのです。

ちゃんとした会社(というか、誠意のある担当者、といえるかもしれない)なら、消費者の立場になって過剰になりすぎないように気を付けて作ります。もちろん生地検査をしたならその結果も踏まえて作ります。

そこまでしても、製品になってお客様の手に渡ってから問題が起きるというのを防ぐのはなかなか難しいものがあります。

 

あとは、商品のサイズについての問い合わせもあります。普段Mサイズを買ってるから試着しないで買ったら入らなかった、サイズどうなってるの?なんて問い合わせもあります。中には試着して購入されてるにも関わらずサイズが合わない、この商品小さいなどという問い合わせもありました(でもこれは商品にも少し問題があったケースでしたが…)。

試着をされて購入して、どうしても合わなかったからかご自分でお直しをした商品を(お直ししてからですよ)交換してというお客様がいたというのも聞いたことがあります。なぜ直す前に店に持っていくとかメーカーに連絡するとかしない??これってクレームだと思う。

この辺りは消費者側のモラルの問題ではないかと思うのですが、どうでしょう。

 

しかし、メーカー側の落ち度でよくない商品が出てしまうことももちろんあります。

先ほど書いた、生地が裂けてしまった(滑脱した)という問題なんかだと、サンプルをチェックするときに気が付いて、滑脱するのをできるだけ防ぐために始末を工夫したり(ロック始末ではなく袋縫いや折り伏せ縫いにしたり、滑脱防止用のテープを貼るなど)していれば、避けられた問題かもしれません。

こういうのはパタンナーだけではなくて、デザイナーでも営業でも品管でも、もっと言えば工場さんででも、とにかく商品になる前に「こういう問題が出そう」と気が付けば、問題が出るのを防ぐことができるかもしれないです。

そして、以前あった問題のフィードバックがあれば、防ぐことができる確率が上がります。そのフィードバックも、パタンナーだけでなく、関係者一同、もっと言えば関係なくても全員にあるほうがよいです。あの部署でこんな問題があったらしい、というのを耳にしていれば、次回自分たちが同じような商品を作るときに問題を回避できるかもしれないから。

よくあるんですよ、同じような問題をくり返すこと。本当にもったいない。お金も手間もかかりますし、信用も無くします。

もちろん気を付けていても同じような問題が出てしまうこともありますが…。

 

ただし、問題を回避するにもコストがかかります。先ほどの滑脱防止のための始末もそうです。商品の値段に乗っかってくるので、そのあたり難しいところ。

あ、だからみんなクレームをフィードバックしないのかな?

 

ちなみにクレームがあった商品は、普通はできるだけ返品に応じない(返金しない)でお直しや交換するようにしますが、会社によってはすぐに解決するために返金するところもあるようです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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