インナーダウンのこと。ユニクロのウルトラライトダウンを検証しました。
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昨年秋に、はじめてインナーダウンを買いました。
ユニクロの、長袖の丸首ですが、中に折り返してVネックにもなるものです。
この冬、春は寒かったり暖かかったりなので、かばんに入れて持ち歩き、寒いときに羽織ったりととても重宝しているのですが、どうも気になる点が…。
着ていると、後の衿ぐりが首に当たるのです。
もちろん、どんな服でも姿勢によって当たるんですけど、これはどうも、きついというかなんというか…。なんとなく後が足りないような。
薄くて暖かくて、とてもいいのだけど、気になる。
あ、ディスってませんよ。インナーダウンについては、世に出現したときからどうなんかな、と思ってたところがあったので、そこを書いてみたいと思います。
アウターとはその名の通り、外側に着る服です。コートやジャケットのことですね。
インナーは内側に着る服です。
私は、このインナーダウンが出たときに、これはインナーなのか?アウターなのか?と思っていました。まあ、どちらでもいいのかもしれないですが、インナーとアウターは、パターン的に(サイズ的にも)こんな関係です。
アウターはインナーの上に着られるよう、通常パターン(サイズ)を全体的に大きくします。もちろんただ大きく作るわけではありません。ちゃんとゆとりや運動量を考えられています。
(もちろん会社やブランドごと、にターゲットや設定する寸法が違いますし、デザインにもよるので、一概には言えませんが)
インナーダウンって、たぶんインナーとアウターの間ですよね。
私、これを考えたとき、サイズ感がとても難しい商品だな、と思ったんです。インナーよりは大きく、でもアウターより小さいって。
アウターはただインナーより大きくしているわけではないので、インナーとアウターの間の微妙な調整が必要で、サイズ設定が難しいなと思ったのです。しかも、少しとはいえダウンが入っているので、厚みもあるし。ジャケットのインナーに着ることも想定されているみたいだから、なおさらサイズ感大事な気がするし。
そうして昨年ようやく買ったのですが、買うときに迷いに迷いました。サイズで。
中に何を着るかでサイズ感は変わってくるし、いろいろ考えてLサイズにしました。
ちなみに私は、既製品のトップスはMかLサイズを選びます。上背があるので、着丈や袖丈が足りなくなるのがいやで、Lサイズを選ぶことが多いです。
以下は私の持っているもののサイズです。私がメジャーで測りました。
ウルトラライトダウンコンパクトジャケット、women Lサイズ グレー
着丈56、バストぐるりで99、裾幅51、肩幅38、天幅17.5、後天下がり2.7
AHぐるりカーブで51、袖丈60、袖幅18.7
すべて単位はcmです。せっかくだから測った箇所すべて書いておきます。
そしてユニクロのネットストアに記載の、この商品のLサイズ↓。サイズの上がりは許容範囲内といえます。
着丈57、身幅50(バストぐるりで100)、肩幅39、袖丈60
私の着用感、
- 後衿ぐりが首に当たる
- 後肩、背中あたりがなんとなく動かしにくい
- コートのインナーに着るのには違和感なし
サイズについて、測ってみると、意外とバスト、アームホールのサイズが大きい。着た感じもう少し小さいと思っていた。やっぱりダウンが入っている分、少し小さく感じるみたいです。
通常の脇線より前寄りに脇線がある。私の友人のパタンナーさんから、シームポケットに手を入れるのに違和感がない位置に脇線を持ってきたのでは、という意見をもらいました。
身頃は2パネル(たて方向の切替が脇線だけ)で、後中心わ(わさ)ですが、袖は2枚袖。
裏の仕様、縫い代はすべて裏地でパイピング。ロック始末だとダウンが縫い代から出てくるので、こういう仕様にせざるを得ないです。ちなみに当然、ロック始末より手間がかかるので工賃上がります。
アームホールが測った寸法より小さく感じるのはこのせいかもしれません。
この図のように、アームホールは出来上がり線(ミシンで縫うところ)が楕円になります。縫い代は上がり線に平行に付けますが、そうすると上がり線と縫い代端の寸法にけっこう差が出ます。カーブの内側と外側で寸法が変わってくるので。
うまく説明できないのですが…アームホールをパイピングで始末すると、生地も縫いも増えるし硬くなってしまって、縫い代が立つ感じでロック始末より脇に当たります。ものによりそれがきつく感じます。(ロックはミシン目が伸びるようになっている)
衿ぐり~前端はパイピングテープ使用。たぶん、この商品パターンより天幅が小さく上がっていると思います。ネックラインをよく見ると、ピリピリしてますし。
実際肩幅はネットストア記載のサイズより小さくなっていますが、それは天幅が小さいからではないかと思われます。
よく前端や衿周りなどにこのようなテープをはさみ込んでいるものを見ますが、こういう仕様ははさみ込む部分が縮んで上がりやすいです。
ちなみにこのテープ、少し伸縮します。ストレッチテープのようですが、それも縮む原因になります。
そして、こういうテープをはさみ込んでいるところは、テープがないところより硬くなりますので、それが首に当たって気になるということもよくあります。
でもこれはなんでこの仕様なんだろう?見た目(デザイン)でなのかな?テープ使用するともちろん付属代もかかりますし手間がかかって工賃上がります。しかもストレッチテープだとさらに付属の値段上がるのでは…。
まあ、なんとなく伸縮させたかったのかな?と思わないでもないです。
生地にストレッチ性はないですが、ダウンが入っている分、着用したときに少し伸びがあるように錯覚します。身頃が伸びる(ように感じる)のなら、衿ぐりも伸びたほうが違和感がないです。
また、背中あたりが動かしにくいについて、自分の感覚ですが、なんとなくネックポイントからアームホール底(カマ底)の長さ(高さ)が足りない気がします。天幅、肩幅が小さく上がっているのもきつく感じる原因になります。
ただ、このあたりのことは着る人の体型、姿勢などにより感覚が変わるので、私にはきついが他の人にはどうか分からない部分です。
パタンナーの意見としては、ジャケットのインナーにも着る前提であれば、3パネルか4パネルにしたほうがよいのかも。2パネでもせめて後中心をはぎにするほうがもたつかずすっきり着られてよいのではないかと思います。袖は2枚袖にしてあるし。でも値段に関わってくるので、できないかなあ。
あと、袖は長いと思う。もう少し短くてもよいのでは。インナーに着るとコートの袖から出てしまいます。
でも、全体的には本当によくできた商品ですよね。もっとはやく買っておけばよかったと思いました。
なんだかレビュー記事みたいになってしまいましたが、個人的には、ふだん仕事でしているサンプルチェックをしているようでした。プライベートでなにしてるんやろ、と思わないでもなかったですが、こんなふうに詳細に見てみるとおもしろい。とても勉強になりました。
またやってみたいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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