パタンナーの危機、かもしれない。
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私がパタンナーになったのはもう20年以上前の話です。新卒で入った会社はそこそこの規模でパタンナーの人数もそれなりにいて、CADが企画室の端にずらっと並んで置いてあり、ものすごく存在感があったのをおぼえています。
そこから数社渡り歩きましたが、手描きのパターンを使用していたのは直近の会社の最後に在席した部署だけ。その会社でも他の部署はみんなCADを使っていて、私自身異動前の部署でもCADは使用していたので、手描きパターンの部署に配属されて本当にびっくり。
いや、本当は異動する前からその部署は手描きだということは知っていましたが、想像以上のアナログっぷりと、アナログだからこその手の抜き方に驚愕でした。
私は仕事では手描きの製図の経験は皆無でした(プライベートでは手描きでしたが)ので、実際に目の当たりにして時代錯誤も甚だしいなあと思っていました。
だって、他の部署が使っているということは、社内にちゃんとCADもプロッターも、充分な設備があるのです。ないのなら仕方ないけれど。
企業でパタンナーをされている方なら、ほとんどがCADを使っておられると思います。フリーの方でも手描きの方は少ないのでは…?
今ならフリーのソフトもあるようですし、しようと思えばIllustratorのソフトでもパターンを作るのは可能です。曲線の計測ができないのは難点で、プラグインが必要になってきますが。
CADというと東レがいちばん有名でしょう。私は東レ、旭化成、ユカアンドアルファの3社のソフトを使用したことがありますが、実際に東レのソフト(クレアコンポ)がいちばん使いやすいと思います。
特にグレーディングはやっぱり東レがいいです。東レを数年使ったあとに旭化成AGMSを使うようになって、これ、できないんだ…と呆然としました。
でも、個人的にはパターンメーキングは旭化成のほうが使いやすかった。
そしてユカは数カ月しか使用していなかったのですが、とくにグレーディングは3社のなかではいちばん感覚的に使えるような気がしました。もう少し使ってみたかったなあ、と思う。
注:あくまで個人の意見です。
そんなCADですが、最近Twitterで知ったCLO3D。3D?なんか、あんまり信用できないんだよなあ、と偏見を持っていたのですが、実際に使用されている方のインタビュー記事を読み興味をもちました。気になってユカアンドアルファのHPでデモ動画を見てなにこれー!と驚き、これはパタンナーの危機かもしれないわと思いました。ユカさんで実際にソフトを触らせてもらうことになっています。とてもとても楽しみです。
私のまわりのパタンナーの間で3DCADの話はまったく出ませんし、どちらかというと私のように不信感?を持っているパタンナーが多いのではないかと思います。私もパタンナーが実際にする作業(トワルを組んだり、ボディに着せたり人が着てするチェックなど)がどれだけ置き換えられるのか、疑問点がいっぱい。
果たして3DCAD、普及するのでしょうか。いつ?するとしたらまず会社がたくさんある東京のほうなのか、地域とか関係ないのか、私にはまったくわかりません。わからないけど、とにかく勢いを感じます。
そして、私の懸念である、こういう3Dのソフトが普及したらパタンナーがいらなくなるのでは?という疑問に対する答えも、思っているよりはやく出るような気がして少し怖いです。
まあ実際は「見た目だけいい」パターンは3DCADで誰でもできるようになったとしても、「着られる」パターンはパタンナーが介さないとできないとしたら、まだパタンナーは存続するのだろうと思うけど←この部分が現役パタンナーが3DCADに懐疑的な部分。
それに、工業パターンにする作業なんかはパターンの知識がなければ厳しいのではと思いますし。
どちらにしろ、危機感は持っているほうがよい、というより持ってないといけないのだろうと思っています。
とりとめのない話になってしまいました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。