私、パタンナーです。

「元」パタンナーの目線から服のことを書いています。

体型に合うよりかっこいい服を着るほうがよいのかも。

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たぶん、どの洋服のブランドも、まずターゲットを決めて商品を作ります。

たとえば、レディースのブランドなら、こんな感じ。

  • 50代~60代の大人の女性。子育てもひと段落し、平日は友人とランチを楽しんだり、習い事をしていたりする。要するにお金持ちの専業主婦層。
  • 20代~30代女性。小さな子どもふたり子育て中。仕事もしているが、家族の時間をいちばん大切に考えている。

このようにコンセプトを(もっと細かく)決めて、ターゲット層の趣味嗜好、生活スタイルも考慮してターゲットを決めます。

そして、決められたターゲット層に沿ってデザイン、パターン(型紙)を作ります。

 

パタンナーは、ターゲット層でいちばん気にするところが、年代だと思います。

若い人なら流行、見た目重視になりますし、年代が上がれば体型カバー、動きやすさなどが重視されます。

私は、キャリアの中でミセスの商品を扱う会社が多かったので、ミセスの商品に強いです。

まあ、いわゆるおばちゃんの服ですね。自分もそろそろその年代にさしかかってますが。

ターゲット層は、狙ってもどうしてもずれが出ます。ターゲットを40代~にしても、実際商品を買うのは50~60代というふうに。

ブランドとともに、お客様も年齢を重ねるので、仕方のないところです。

年齢が上がってくると、若い頃と体型が違ってくるのはどうしようもありません。胸やおしりの位置も下がってくる、お腹や腰回り、二の腕にお肉がついてくる。

パタンナーはこれらをできるだけカバーするように型紙を作ります。

とくに値段が高く、会社やブランドの歴史が長いと、その傾向が強く出るように感じます。

半袖の袖丈は、あまり短すぎないようにとか、腕周りが窮屈にならないよう、袖巾(というか、袖山の巾というか…)は広めに、などなど。

…こうなってくると、デザイン自体は若くても、老けて見える服になってきます。

当然です。そう作ってるから。

 

今はまったく作りませんが(編みものはします)、昔は私もたくさん服を作っていました。

自分の体型に合う服を作っていました。

私はかなり背が高く、既製品では必ずと言っていいほど、丈、袖丈が合いません。

しかも、昔は本当に服が高かった。

丈の合わない服を、高いお金を出して買うのは、けっこうむなしいことなんです。今では作るほうが高くついたりしますけど。

それで、自分の体に合わせて作るのですが、合いすぎるとなんだか変なんです。

服を着ているのに、体型丸わかりみたいな…表現難しいですが。

いくら若くても、決してスタイルが良くもない自分の体の型(服)に自分の体をはめるのです。

まあ、ぴったり合いますね。

でも、かっこよくない型にはめ込んだら、かっこよくないですよね、当然。

でも、めちゃくちゃかっこいい型(服)があったら?

つまり、めちゃくちゃかっこいい形の型に、かっこよくない自分の体をはめ込んだら??

…かっこよくない自分の体が、かっこいい型(服)のおかげで少しかっこよく見えるんです。

本来、服とはそういうものなんだろうと思います。

自分に合うからと言って、必ずしも自分を良く見せられる服になるとは限らないのです。

でも誤解しないでくださいね、若い人向けのブランドの服を、おじさんおばさんが着て若作りすることとはまったく違います。

無理するわけでなく、ある程度着やすくて、年齢による体型の崩れなどを目立たなくしてくれる服。

…探すのは難しいかもしれないですね…。

でも、基本的に良心的なパタンナーは、そういう服を作ろうと努力しています。

少なくとも、私のまわりには、そんなパタンナーがたくさんいます。

でも、全員ではないのは確かですね…。

 

そして、手作り派の人は、型紙を自分の体に合わせ過ぎることにご注意を。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。